紙は、「人と人」、「社会と人」、「過去と現在、未来」を結ぶ情報伝達媒体として重要な役割を果たしています。ラジオ、テレビ、インターネット等の紙以外の情報伝達媒体が普及した今日においても、光沢紙や耐水紙といった新たな機能を付与した紙の需要が増しています。
現在、ポリマー材料を素材とする合成紙が、ポスター、カタログ、画集等のデータ内容の維持が重要である分野で利用されています。しかし、主原料を石油とする合成紙の多くは、使用後に燃焼処理されるため「化石燃料の使用量低減」および「二酸化炭素排出量の削減」という世界的な環境保全機運の中、環境への負荷が問題視されます。一方、「生物由来の紙」は一般的に再生利用が可能であり、環境にやさしいという特徴があります。しかし、普通紙は親水性の水酸基を有するセルロースからできており、水分に弱いという欠点があります。この欠点を克服する方策として、自己組織化単分子膜(SAM)の利用が有効です。SAMは、疎水性官能基を有する膜厚1〜2nmのナノ分子膜です。疎水性官能基と反対側にある水酸基は普通紙表面の水酸基と脱水・縮合し、ナノ分子膜は強固に紙に固定化されます。これにより、ナノ分子膜の疎水性官能基は普通紙の最表面に現れ、撥水化します。本研究開発は、セルロースで構成される紙や繊維上への超はっ水処理技術の確立およびその処理装置の開発を目指しています。 |